解離性同一性障害との比較

Mental Disorder
06 /25 2013
 この前、非常に興味深い話を聞きました。ある双極性障害の方が、あまりに激しい躁病相と鬱病相を呈し、しかもラピッドサイクラー(RapidCycler/RC)だったため、解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder/DID)という誤診を受けていたという話です。

 DID、いわゆる多重人格の障害は、日本においては『24人のビリー・ミリガン(Daniel-Keyes著)』で、一躍有名になった精神疾患です。

 DIDの原因は、よく幼児期の虐待など、これもまた一時期流行った『アダルトチルドレン(Adult Children/AC)』と同様に、あまりに出来過ぎた話が引き合いに出されます。

 しかし、精神疾患が全てそうであるように、ある時期のストレスやトラウマを引き合い(原因)に論うのは如何なものかと、筆者は常々思っています。

 ここでは、ACやDIDの発症要因については、横に置いて、双極性障害とDIDの類似性について、筆者なりに検証してみたいと思います。

 まず、DIDにおいて、重要なのは『一般に多重人格といわれるが、ひとつの肉体に複数の人間(人格)が宿った訳ではない。 あたかも独立した人間(人格)のように見えても、それらはその人の「部分」である(岡野憲一郎編 『わかりやすい「解離性障害」入門』)ということです。

 上記の内容に関しては、様々な意見があるとは思いますが、双極性障害との類似性を語るうえで、大変参考になると思います。

 つまり、双極性障害における〝躁病相/軽躁病相〟〝大うつ病相〟の期間、そして〝通常期(正常な状態)〟を個々に捉えると、まるで別人のように見えるということです。

 ただ、DIDと大きく異なるのは、各病相期と通常時の境界があいまいで、連続的に罹患者を観察した場合、どの状態を持って病相期、あるいは通常期と判断するか困難だと思います。

 しかし、その一方で、病相期に入る時は、何らかの身体的サインが生じるという話もあります。筆者は、大うつ病相期に入る時の身体的サインを確かに把握しています。

 つまり、ある見方からすれば、連続的に見える病相は、通常期のラインを跨る時、何らかの境界が存在する可能性があるということです。

 また、もう1つの類似性として、DIDの寛解/完治は〝人格の統合〟にあるとされている点です(しかし、最近は非現実的な目標かもしれない可能性が指摘されています)。

 双極性障害における寛解/完治も、病相期のコントロール(時には投薬により)して、程よい状態、つまり通常期の状態を維持し続けることにあります。

 これは、人格の統合とかなり近しいものを意味しているのではないかと、筆者は(直感的に)思います。

 さらに付け加えるのであれば、DIDの罹患者が、時に人格の統合を拒否する(副人格が消失することに恐怖と苦しみを持つ)ことにも、ある共通点を見出すことができます。

 これは、観念奔走や転導性を伴わないエネルギッシュな躁病相/軽躁病相を疾病と受け入れられない...治療を拒む、等のエピソードです。

 筆者も、実は「観念奔走や転導性を伴わないエネルギッシュな」良い軽躁病相を治療すること(つまり喪失すること)に、未だに抵抗をおぼえています。

 発症の要因とはみなしませんが、少なくとも、良い軽躁病相が、筆者の今までの画期的な何らかの成功を導いたのは事実です。

 しかし、それが疾病となってしまっているのは、軽躁病相が良いものだけではなく、悪い面も持ち合わせている(社会的信頼の失墜など)点です。

 また、軽躁病相と大うつ病相は、概ねワンセットです。大うつ病相が、好ましくないものであるのは、今さら言うまでもありません。

 これは、DIDの副人格には、好ましくない人格が存在することとよく似ています。しかも、時には犯罪という形で社会的信頼の失墜、破滅をもたらすこともあります。

 では、相違点はというと、DIDは疾病と気付かないうちは、副人格の存在はもちろん、記憶もない等の症状を持っている点があげられそうです。

 が、これも、確実に違うとは言い難い側面もあります。これは、躁病相/軽躁病相での、例えば、感情爆発といった状況においては記憶が飛ぶという事態が発生する点です。

 また、大うつ病相でも、その経過の記憶が曖昧...ということも筆者は経験しています。確かにそういう時期が存在していたはずなのに、なぜか生きている...といったような。

 『精神医学には昔から、単一精神病といった発想が伏流しており、さまざまな精神疾患は、別々なものではない。人間にはたった1つの精神疾患しかない』という論調があります。

 ひょっとしたら...ですが、DIDであれ、双極性障害であれ、その発症要因を〝内因性要因〟に求め、その基盤に基づく身体因的脆弱性から、様々な障害を具現化している...実は、全て、遺伝子変異に基づく特殊な進化(遺伝的な意味合いでの来訪者)の結果と考えられるのではないかと、筆者は常々思っていましたので、冒頭での誤診の話は、その一端を示すもの...と受け取れてしまうのです。



 ああ、長くなってしまった...でも、この記事、次回に少し引っ張る予定です。


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クロサワウヅキ

性別:男
年齢:アラフォー

20代前半でForceに目覚める。
その後、SithのDark Lord〝Darth Ruin(Ⅱ)〟を襲名
というStar Warsのコアなファン

なお、メンヘルへの誹謗・中傷は許しません。